雇用と投資 2017 1 28
今から数十年前の話になりますが、
私が中学生の頃は、あちこちに工業団地が建設され、
高校を卒業した若者は、地元の工業団地に就職しました。
私は、大学生の夏休みに工場でアルバイトをしました。
工場では、若い工員が多く、夏祭りなどを楽しんでいました。
あれから数十年経過して、
私は、帰郷した際に、工業団地を見に行きました。
遠くから見た時は、「まだ、工業団地はあるぞ」と思いましたが、
よく見ると、工場にしては建屋が高いのです。
近づいて見てみると、物流倉庫だったのです。
工場が物流倉庫になっていたのです。
倉庫は、コンピューターと機械で運用されていて、
ほとんど無人でした。
投資家から見れば、人件費の高い日本で操業するよりも、
人件費が安い海外で、工場を操業すべきであるという主張になるでしょう。
しかし、政治家から見れば、
「地元の雇用は、どうするのか」という主張になります。
さて、雇用は、どうなったのか。
郷里の人に聞けば、若者たちは、
地元にできた巨大なショッピングセンターに就職したという。
確かに、就職口は確保できましたが、
生涯賃金は、大きく違うでしょう。
工業団地にある大企業の正社員の工員と、
サービス業の店員では、年収は大きく違います。
投資家は、株主として、大企業に対して、
ひたすら利益の追求を求めるでしょう。
そこに雇用の維持ということは眼中にないでしょう。
それを政治家はどう見たのか。
投資家から見れば、政治介入する政治家は、邪魔だと見たのか。
それとも、投資家の軍門に下った政治家が多いので、気にならなかったのか。
誰のChangeだったのか 2017 1 15
書名 トランプ登場は日本の大チャンス
著者 日高 義樹 PHP
オバマ氏は、アメリカ国民に「Change」を呼び掛けて、
大統領に当選したが、
結局、「Change」したのは、オバマ氏本人だった。
そういう声を複数の評論家から聞きます。
確かに、オバマ氏は、経済では、グローバリズムを推進し、
外交では、ロシアに対しては、ライオンのごとく吠え、
中国に対しては、「借りてきた猫」のように、おとなしかったのです。
こうした「ライオンと猫」の外交は、冷戦思考そのものです。
冷戦時代、ソ連という巨大国家に立ち向かうには、
中国を味方に引き入れる必要がありました。
だからこそ、「ライオンと猫」の外交は、有効な手段だったのです。
しかしながら、ソ連が崩壊し、中国が急速に台頭してくる時代に、
こうした「ライオンと猫」の外交を推進したら、どうなるか。
これは、誰が考えても、すぐにわかることでしょう。
オバマ氏は、中国で金儲けをしたいと考える勢力に取り込まれてしまったのではないのか。
一方、グローバリズムにおいては、
「経済に国境がない」と言われます。
しかしながら、エリートや大企業には、
確かに、経済に国境がないようなものだったでしょうが、
庶民にとっては、そう簡単に国境を超えることができなかった。
つまり、庶民には、グローバリズムの恩恵は少なかったと言えるでしょう。
そこで、トランプ氏は、アメリカ国民に「Change」を呼び掛けて、
大統領に当選しました。
つまり、トランプ氏の主張は、
経済では、「反グローバリズム」を掲げ、
外交では、親ロシア・反中国となっています。
さて、日本人は、こうした急激な変化が苦手なので、
トランプ氏には、不安感を抱いていますが、
ピンチの時は、チャンスでもあるのです。
日本は、時代の変化をとらえて、チャンスとすることができるのか。